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〈岸川side〉
岸川はシャトル格納庫に向かうために一人、通路を走っていた。
「艦長の奴・・・」
彼女は自分を犠牲にして船員を逃がす気だ。
「自分ばっかいいカッコしやがって・・・そうは行くかよ」
彼はそう呟き、前を走っていた同僚を呼び止めた。
「おい!健吾!」
健吾と呼ばれた青年―本江健吾―は振り返った。
「何だ?」
「このキーをやる。コイツでシャトルを発射させてくれ。」
「え?」
「オレは艦長のとこに行く。」
暫くの沈黙。
「そうか・・・止めても無駄だろうな。」
「あぁ・・・必ず戻ってくるから、それまでみんなをまとめてくれ。」
「・・・わかったよ」
本江は大きく頷いた。それ以上言うべきことは無かった。
岸川は本江に一瞥し、再び艦橋に戻っていった。
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