遭遇

7/10
前へ
/57ページ
次へ
〈岸川side〉 岸川はシャトル格納庫に向かうために一人、通路を走っていた。 「艦長の奴・・・」 彼女は自分を犠牲にして船員を逃がす気だ。 「自分ばっかいいカッコしやがって・・・そうは行くかよ」 彼はそう呟き、前を走っていた同僚を呼び止めた。 「おい!健吾!」 健吾と呼ばれた青年―本江健吾―は振り返った。 「何だ?」 「このキーをやる。コイツでシャトルを発射させてくれ。」 「え?」 「オレは艦長のとこに行く。」 暫くの沈黙。 「そうか・・・止めても無駄だろうな。」 「あぁ・・・必ず戻ってくるから、それまでみんなをまとめてくれ。」 「・・・わかったよ」 本江は大きく頷いた。それ以上言うべきことは無かった。 岸川は本江に一瞥し、再び艦橋に戻っていった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加