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〈田口side〉
誰もいない艦橋。
いや、一人いた。
田口は正面モニターを見つめる。
そこに次々と表示されていく情報に目を通していく。
―酸素タンクに引火、船内の酸素濃度通常時の75%―
―前部甲板に着弾、弾薬庫に引火―
―全シャトル発射完了、残り0隻―
・・・・・・
「これでいい・・・」
そう彼女は呟いた。
乗組員は全員、退艦した。あとは彼らの為に時間を稼ぐだけだ。
しかし、それはつまり死ぬということに等しい。
まぁ、この艦への搭乗が決まった時点で覚悟は出来ていた。
というか、艦に足を一歩踏み入れた途端、生きて地球の土を踏むことは二度と無いのではないか、と感じていた。
まさか、現実になるとは思っていなかったのだけど。
田口は火器管制システムをオートに切り替えた。
これで、この艦の全兵装が全自動で攻撃を行うことになる。
そして、操舵席に着き、スロットルを左手で、レバーを右手に掴んだ。
この艦の操縦方法は基本的に戦闘機と変わらない。
戦闘機よりは全然動きは鈍いが。
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