第三次世界大戦

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そんな不安定な情勢真っ只中の2068年、国連は解散された。 〈『今のような困難な時代こそ国連が必要とされるべきですが、世界はそれにNOを突きつけました。実に悲しいことです。 国際連合は解散され、約百年間続いてきた平和な時代は終焉を迎えました。今後は、各国が各々の力だけで、平和への道筋を策定しなければなりません。 これはとても困難な事ですが、私は信じています。人類なら成し遂げられると。今夜、国連の終焉に悲しみを表しつつも、人類の未来への希望を皆さんに託します。』 国連の坂上理事長は23日夜の最終演説でこのように述べ、国連の解散を発表した。 2060年代に入ってからは実質的には殆ど機能不全に陥っていた国連だが、2065年頃からアメリカ、中国の両国が国連加盟国の自軍同盟への引き込みを図っていたようだ。 また、会議面でも混乱が生じていて、今年の春の会合では、会合の真っ最中に中国代表がアメリカ代表に暴言を吐いて退出するという事件も起きている。 そんな中の2068年7月23日、国連総会で国連の解散が議決された。 これにより、国際連合は解散された。 国連傘下の組織は各国政府の運営下に置かれることとなる。 また、関係機関は7月中にも国連本部ビルから退去する運びとなる。 国連本部ビルのその後についてだが、合衆国政府に譲渡された後、競売にかけられる。 資産価値が高いビルだけあって、引き取り手には大手企業が多数名乗りを上げている。 現在の有力候補はVullt-Tec社で、最先端軍事研究の拠点となる予定だという。 編集記者:土井 July,24,2068 NEW YORK TIMES〉 ニューヨークタイムズ2068年7月24日号朝刊より抜粋
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