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2074年7月20日。
中国軍がニューヨーク、ワシントン、ボストンといったアメリカ東海岸の主要都市をICBMで攻撃。その後、EUの機動部隊が上陸、激しい戦闘の末、占領した。
これを機に、連合軍と同盟軍は全面戦争に突入する。奇襲攻撃が成功した同盟軍は、開戦当初は戦局を優位に進めたが、資源と生産力で勝る連合軍の反撃により、2078年頃には膠着状態となる。
正に太平洋戦争の再来である。
2081年、戦況を大きく動かす新兵器が連合軍陣営で開発される。
反物質兵器である。2081年秋のノヴァスコシアの戦いで実戦投入され、絶大な効果を上げた。
これに危機感を抱いた同盟軍の一部将兵によって内乱が起き、その混乱に乗じて核ミサイルが発射される。
東部標準時刻2081年10月は17日午前11時08分のことである。
15分でミサイルはワシントンに到達、ワシントンは灰燼に帰した。
これに呼応して地球規模での核戦争が勃発。
備蓄核を全て使い切る勢いで核ミサイルの応酬が起きた。
この核戦争は1ヶ月程で終結した。
政府そのものが消滅してしまったからだ。
地球は放射能に汚染された焦土だらけの赤茶けた星に成り下がってしまった。
だが、人類は直ぐに滅びたわけでは無かった。
しかし、本当の苦難は生き残った者達に降りかかった。
秩序は崩壊し、力が全ての世界。
弱肉強食の世界。
そんな時代が200年あまり続いた。
寧ろ、核戦争の時に消し飛んだ人の方が、幸せだったのではないかと思えるほどの地獄の中でも人類は逞しく生き抜いていた。
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