二話 四天王

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「徳芳、あなたは源という名に執着し過ぎじゃない」 苑衣に向ける笑みとは違う笑顔に、端に控える空木が身震いをした。 「余所様にそのような事を言われる覚えはございません」 「僕は殿より桜の君を任されているんだ」 意味が分るよねと続けた金時に、女房・徳芳は眉を顰めて踵を返すと、去って行った。 唖然とする苑衣とは違い、空木が安堵して息を吐いた。 それに金時が笑みを浮かべる。 「空木、桜の君のお付きになったんだね」 「あ、はい」 頬を赤らめ笑う空木に、苑衣は気付いて同じく笑った。 「空木ちゃん、そんな所にいないでこっちにおいでよ」 「え……そんな……」 慌てる空木に、苑衣は傍らを叩いて勧める。 暫くして、空木は苑衣と金時の傍らに座った。 「ところで金時様は、頼光様の腹心の部下なのでしょう?」 「まだまだ未熟者ですよ」 「……実はそう見えて、力持ちとか」 「いいえ!とんでもありません!」 やはり作り話か。 まぁ、何時の時代に熊と相撲とる子供がいると言うのか。 「自分は全然ですよ。ただ、熊と力比べして勝つだけですし」 いた。目の前にいた。 恥ずかしそうに武勇伝を語る金時に、苑衣は遠い目になった。 何でも無いかのように言ってるが、とんでもない事です。 .
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