三話 十二神将

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******* 晴明は難しい顔をして、何も無い場所を見ていた。 否。常人には視えないだけで、そこには彼自慢の式神がいる。 「……つまり、その術者は喰われてると言うのか、太陰」 『上手い具合に体を乗っ取られている。臭いや気配は無かったから分からなかったが、雑鬼達が現場を見ていた』 力も弱くただ集まっているだけの雑鬼達は、さぞ恐ろしかっただろう。 しかし今は、そんな事は気にしていられない。 「術者……嫌その鬼は?」 『全力で探してるがまだ分からぬ』 これは面倒だ。 屋敷に閉じ込めている苑衣に接触はしないだろうが、 このままでは危害が及ぶだろう。 あの子の為には、その前に鬼を滅さなければ。 『力及ばぬ相手を使役するからこうなる』 不意に第三者の声だけが参加した。 晴明は苦笑し、月光を浴びる簀子を見た。 「久しいな、勾陣」 『挨拶はよい。話は聞いたぞ。その術者は当然の末路だ』 確かに、式神を使役するとあれば己の力に見合った者を選ばねばならない。 強過ぎては制御できず、今回のように式神が暴走するし、弱過ぎては術者の力に負けて消えてしまう。 相手は神だ。適当な者でなければ自分も神の為にもならないのだ。 .
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