三話 十二神将

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『晴明。例の娘を見て来たが』 「桜の君か」 『あれは気の毒よの。死相が濃い。あの年で生きるのを諦めているようだ』 式神の言葉に、晴明は苦笑を漏らす。 そうだ。確かに一目見た時、気の毒だと思った。 背景に散る桜と合わせ、酷く儚く見えた。 「……しかし、綱殿もいる」 『あの子童が何をできる』 「人とは時に、強くなる者だよ」 『…………知ってる』 彼等の主がそうなのだから。 「協力してくれ。何としても術者を探し出すんだ」 『『了解』』 気配が消える。 それを待っていたように、妻戸が開いて可愛らしい男の子が顔を覗かせた。 まだ幼く小さい男の子だ。 おぼつかない足取りで晴明に近寄り、ぱふっと足に抱き付く。 「吉平、どうした」 本来ならばすでに寝ている筈の愛息子は、不思議そうに目を瞬かせた。 「とうさま?おには?」 オニとは式神の事を言っていると分かっている。 体を抱き上げ、笑い掛ければ、大きく首を傾げた。 「オニは今、お使いをしているよ。母様はどうした」 「ははさまね、おねんねしてるの」 体が弱い妻を思い浮かべ、そっと息を吐いた。 それから、この幼い子を寝かしつける為に部屋を出ようとする。 が、それより先に音も無く女が現れた。 .
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