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「天一、何をしている」
護衛として置いて来ている筈の式神に、晴明は目許を険しくした。
『ご報告がございます』
今なら屋敷に綱もいるので、来たのだろう。
「何だ」
『何やら不穏な輩が屋敷の周りをうろついておりましたので、玄武を追跡にやりました』
「それで」
女の傍らに気配だけが現れる。
『すまぬ。見失った』
『どうもその男、姫を狙っております』
『……天一だけではいざと言う時危ないだろう』
四天王の彼等も四六時中付いていれる訳がない。
落ち着いてきたら、苑衣を警護できる時間は無くなるだろう。
晴明が使役した十二神将には特性があり、攻守で分かれる。
中でも天一は力もあまり強くなく、防御が得意だ。
いざと言う時に相手を追い返す事は難しい。
「……ならばもう一人憑けよう」
さて。誰がいいか……。
「……誰かおらぬか」
そう呼べば、気配だけだが数人現れる。
それを見回し、晴明は選んだ。
「では白虎、頼んだ」
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