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「徳芳さんは、私の事が嫌いなのかな」
何か風当たりがきつい。
百未は苦笑して首を振った。
「殿は今は渡辺を名乗っておりますが、嵯峨源氏の方でして。仁明源氏の源敦様の養子となってから、摂津の渡辺と言う地域に越し、渡辺氏を名乗るようになったのです」
「……嵯峨とか仁明とか、色々あるんだ」
「嵯峨源氏とは贈氏源氏の初めで、第五十二代嵯峨天皇の子孫になります」
沢山の皇子や皇女に源氏姓を贈り、臣籍降下させた。
その源氏姓を持つ者達が、沢山の名を持っているのだが、中でも格別なのは村上源氏だ。
「ふぅん。なら、綱様と頼光様は以外と関係あるんだね」
「大ありです。殿が養子になられた仁明源氏の源敦様は、頼光様の父君源満仲様の娘婿になるのですから」
「ん?……血縁関係は限り無く薄いけど、おじと甥になるの?」
「そういう事になりますね」
それは確かに凄い。
「…………実は、徳芳様は摂津源氏の方で、源姓に誇りをお持ちなんです」
だから、綱の婚約者という事になった苑衣には、しっかりした姫になるようきつく当たっていると。
それを知り、苑衣は起き上がると伸びをした。
「……なら私も頑張らなきゃ。綱様や頼光様の顔に泥を塗らないように」
「あまり根は詰め過ぎず」
それでも自分を見てくれる人は有り難いから、期待には応えたいと苑衣は思った。
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