四話 良妻?

3/9
前へ
/384ページ
次へ
「徳芳ぃ!!」 「はい」 夕餉の支度を命じていた徳芳や、女房達が振り返り目を丸くする。 帰って来たばかりの主と、その腕の中で寝ている許婚を見れば何事かと驚く。 だが流石は徳芳。 気を取り直し綱に向き直る。 「如何されましたか」 「俺がいない間に、誰が来てこいつに会った」 「……は?」 「昼頃に誰か来ただろう」 「…………あ。はい。季武様が帰りに寄られて」 「まだいるな!出て来い!!」 「なぁんでバレるかな」 ぶぅぶぅ文句を言いながら、本当に季武が出て来る。 寝ていたのか、髪はぼさぼさで寝起きだ。 「お前、人の家で酒を飲むな!寛ぐな!」 「えぇ?いーじゃねぇか。俺の家みたいなもんだし」 「俺の家だ!せめて寝るならこいつの部屋に酒を置いてくな!」 そこで、この場にいる全員が苑衣の状態に納得した。 昼に帰った季武は、酒を持って渡辺邸に寄り、神将に話し掛けていた苑衣の前で談笑しながら飲んでいた。 が、酔いが回り眠くなってしまい、空いてる部屋で寝る事にした。 季武に付いて徳芳達女房がいなくなった隙に、残っていた酒を苑衣が飲んだのだろう。 ようは、熱では無く酔ってしまってる訳だ。 神将がいるなら止めてやれよと、金時は胸中で呟いた。 .
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

309人が本棚に入れています
本棚に追加