四話 良妻?

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頭が痛い。 起きて寝返りを打ちながら、苑衣は呻いた。 『姫様、大丈夫ですか』 「……天一?ん?私、何時寝たの?」 お昼、季武が寝るまでは記憶があるのだが。 首を捻っていたら、手が額に触れる感触がした。 その冷たさが気持ち良くて、苑衣は目を細めた。 「……気持ちいい」 『お母君はこうして下さいましたか?』 「どうだろう」 物心付く頃から冷えきっていたから、覚えはない。 「……こうしてもらうの、夢だったんだ」 『…………お役に立てましたか?』 「ありがとう。……何か騒がしい」 『殿方が宴をしておりますから』 綱が帰って来ていたのか。 何も覚えていないから、知らなかった。 苑衣が使っている部屋は東対屋だ。 騒がしいのは寝殿。 ここから出た事が無いから分からないが、そこにいるのだろう。 行ったら迷惑だろうな。 御簾の向こうで明かりが点いている寝殿が見え、気になりながらも諦める。 『姫様』 『起きたか。綱が来るぞ』 「え!?」 慌てた苑衣は、二人に口止めした茵に潜ると、狸寝入りを決め込んだ。 すぐに妻戸が開き、綱が入って来た。 .
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