四話 良妻?

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「……綱様は刀は、『髭切りの太刀』って言うんだよね」 『はい』 源氏の名刀だ。 朱塗りの鞘に手を伸ばし、柄を握って引く。 刀を抜くのに力がいる。 何とか引き抜くと、月明りに鈍色の刀身が輝いた。 「……今すぐ太刀を置け」 驚いて綱を見れば、背中を向けたままの体勢だ。 慌てて鞘に仕舞い戻す。 「……あの。ごめんなさい」 謝ると、綱は起き上がり、茵から出て太刀を腰に差した。 「謝るなら最初から触るな。次やったら斬る」 「っ!!」 恐らく冗談ではない。 勝手に触った自分に非があるのは分かってる。 手甲をはめて出て行く綱を見送りながら、苑衣は息を吐いて俯いた。 .
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