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今の俺は誰かを守るよりも
色んな人から守られて生きている。
多分それは俺だけじゃない。同年代の多くはそうじゃないだろうか?
そしてそれはとても幸せな事で
それを当たり前だと思い
生きている
普通ならそれに気付くのはもっと先、数年、数十年…もしかしたら親が死んで初めて気付くのかもしれない。
俺はただ春の事が好きなだけじゃなく、そういう事を気付かせてくれる春を尊敬している。
《コンコン…》
「お兄ちゃん、夕飯だよ~下に下りてきて。」
(もぅ、そんな時間か…)
「分かった!」
俺は妹の雪乃(ゆきの)に返事をしながら、机を片付ける。
(まだ、上で戯れてるのかな?)
《ニャ~…ナ~オ…》
(増えてる。)
俺は上から聞こえる2匹の猫の声に、笑みを溢しながら茶の間に向かった。
「ありがとう。もぅ、お帰り…」
春は名残惜しそうに帰っていく友達に手を振り、振っていたその手を見つめ苦しそうな表情で自分の手を抱き締めた。
「私はいつまで…」
そう呟き春は空を見つめる。
青と藍の狭間の空を
星が1つ2つ…
「私はどうしたら……っ…」
言葉を詰まらせながら、春は秋の部屋へ戻った。
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