パイプと煙突

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曇りから陽射しが射し込み始めた昼下り… パンを買いに行くと… パン屋の老人 ミシェッタがメシャムパイプをくわえながらいつもの様に店に佇んでいる。 「パン一つ下さい」 ミシェッタに告げると… ミシェッタは「おぉメイスン!」と慌てて駆け寄って来た。 「メイスンよ、町の役人達から聞いた話じゃが…」 「スラムの子達を強制的に施設に送ると今さっきパンを買いに来た役人達が言ってたんじゃ」 「ミシェッタさん、その施設って…もしやー」 「メイスンも察知がつくじゃろうが、クスタクス教会じゃ。」 「……」 メイスンは絶句した。 クスタクス教会は離れ小島にある教会だが、テビック人とヒークス人の紛争の地であり…今のスラム街よりもっと治安が悪い。 「役人…大人達は僕達をなんだと思っているんだ」 ミシェッタはいつも以上にメシャムパイプからもくもくと煙を出しながら… 「メイスンよ、もしよければスフィーシと一緒にわしの子供にならんか?」 「メイスンが必死に働いて妹のスフィーシの為にパンを買っていた姿は心打たれていたからの。わしの子供になれば、クスタクス教会には行かなくて済む。じゃが…メイスンとスフィーシだけじゃ。スラムの仲間とはお別れしなければならんの」 「ミシェッタさん…」 ミシェッタに養子にしてくれる様にお願いしてパンを一つだけ買い店を出た。 急いでスフィーシの元へと走って向かう最中… 雲と雲の間から射し込む陽射しはいつも以上に眩しくて… 光は一筋に射し込み、向かうべき方角を指している様に思えた。
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