パイプと煙突

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走り着くと… スフィーシがいつもの場所には居なかった。 辺りを探すがスフィーシは居ない。 最悪の事が頭を過(よぎ)った。 もしやと思い、役人達とスラムの仲間達が揉みくちゃになっているスラム街へ向かった。 押し合い… 殴り合い… 混乱状態のスラム街になっていた。 必死にスフィーシはここに居ない事を祈りながら辺りを探した。 しかし、どこを探してもスフィーシの姿はどこにも居なかった。 少し安堵はしたが… スフィーシが見つかるまでは完全に安心する事は出来ない。 メイスンは後悔していた。 今日に限ってスフィーシの元を離れてパンを買いに行った事を本当に心から後悔した。 「…スフィーシ」 「スフィーシ…」 心で呼べば呼ぶ程に見つからなくて…スフィーシを遠くに感じ、焦りだけが先走り何度も同じ場所を探してしまう。 無駄に時間だけが過ぎてゆく… その時だった! 「メイスン!!」 声で呼ばれた方に振り返ると同時に鈍い音がして… 顔面に衝撃が走った― その場で倒れ込む感覚が意識が朦朧とする中…感じた。 徐々に暗くなる視界の中で… 頬がじんじんとして痛い。 足音は無造作にあっちこっちで聞こえ… 身体中何かが当たり、踏まれたりの繰り返しが続いてるような気がした。 痛みが徐々にぽかぽかと温かくなり眠りに誘われるがまま… 深い眠りに落ちた。
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