パイプと煙突

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メイスンはゆっくりと目を見開いた。 気が付くとベッドに居て… ベッドの白いシーツが太陽の光で物凄く眩しい。 「ぉお、メイスン!」 目の前にはミシェッタが心配そうにこちらを覗きこんでいる。 「メイスンよ、頬は心配しなくても大丈夫じゃ。消毒はしといたからのぉ!役人達が最終的に強制執行を暴力で行使した為にメイスンも殴られたんじゃ。」 「ミシェッタさん…」 「メイスンよ、スフィーシを探しておったのじゃろう。役人に話をしてメイスンを家に運んだ後、探していたんじゃが…」 ミシェッタはメシャムパイプをくわえて煙をいつも以上にもくもくと出したまま…言葉を詰まらせた。 「ミシェッタさん、スフィーシは無事に見つかったんですよね?」 メイスンはミシェッタの方をじっと見たまま上半身を起こした。 ミシェッタは申し訳なさそうに泥だらのぬいぐるみをメイスンに渡した。 「蒸気機関車の線路付近に落ちていたんじゃ。いつもスフィーシが持っていたぬいぐるみはあったんじゃが…スフィーシの姿はなかったんじゃよ。」 後日、スラム街へ行くと… スラム街は後片もなくなっていた。 強制的にクスタクス教会にスラムの仲間達は連れて行かれてしまった。 あの蒸気機関車の荷台にスフィーシも仲間達と共に連れて行かれてしまったのだろうか… スラム街も仲間もスフィーシも消えてしまった。 これから何をして… 何の為に働いて… 何もかもが… あの煙の様に儚く消えてゆき… 手で空を仰ぐ… 肌寒い風の吹く秋の事だった。
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