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チャリンチャリン。
店の扉を開けた音がした。
急いで店に戻ると…
少年と少女が二人、
メイスンを真っ直ぐ見て少年が……
「あのパンの半分、売ってくれませんか?」
「お金が足りないの」と少女は俯き、
少年は必死な眼で訴えかけている。。
紐を一気に引き寄せた時の様にあの時の情景が蘇った。
スフィーシと一緒に店に来て、ミシェッタに同じ言葉を言った日の事を。
ミシェッタは…
あの時、笑顔で…
「あぁ!いいとも。お金を払ってくれたらどんな人でも神様じゃからの」
わざわざ紙に包み込んでくれて何も言わぬまま、パン一つ丸々を包んでくれた…
あの時「必ずもう半分の代金は払います」というと、
ミシェッタは…
「ほほぉ。少年よ。代金はいいんじゃよ。今、感じた優しさを他の困っている人にしてあげる事で、わしは満足なんじゃよ」
ミシェッタはメシャムパイプをもくもくと吹かして、笑顔で答えてくれた。。
スフィーシも「私、絶対するね!約束するー」
あの情景が鮮明に蘇り、二人の少年と少女を見て涙が溢れてきた。
ミシェッタと同じ言葉で、「も、もちろん!!パンを買ってくれる人は皆、神様だからね。」
紙に包みながら、涙を落とさずに黙ってパン一つを紙に包み少年に手渡した。
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