134人が本棚に入れています
本棚に追加
「だあっ……」
――このお節介がっ！
級友の声に訳もない不満をどこかに感じた。
本人に責任はないが、ありがた迷惑には違いない。
当然その声に反応した教卓前の女は、京平の方へ視線を向けると、口を結(むす)んだままじぐざぐと机の合間を縫うようにして近づいてきた。
何を言われるのだろう、京平は息をむ。
クラスメートの視線を浴び覚悟を決めて身構えた。
名前を呼ばれてしまった手前後にはひけない。
教卓前からこちらへ向かってくる女…彼女は長くきれいな髪をサラサラとなびかせながら、また茶色い瞳で真っ直ぐに京平の方を見ている。
顔は無表情のように見えるが、怒ってると言われればそんな気もするような…少し冷めた表情。
「あんたが三好京平？」
「……っ！」
「なんとか言いなさい。」
最初のコメントを投稿しよう！