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そんなこんなで、俺は半ば強制的に外出させられた。
猫さん、ごめん。君との出会いはだいぶ先みたいだ。
日本の小地方都市商店街の典型とも言える寂れた印象の羽鍋商店街には、不似合いの長蛇の列があった。
これが占い師の効果だと言うのか!?
馬鹿な!あり得ない!
というか、この地区の住人どんだけ物好きなんだよ、姉も含めて。
それとも、田舎者だから岐阜という都会のレッテルに弱いのか、姉も含めて。
「何?さっきから黙ってるけど、心の中で私に対する罵詈雑言でも唱えているわけ?」
「いや、物好きで田舎者の自己チュー女だなんてこれっぽっちも思って無い」
「絶対思ってるでしょーが!」
「気のせい。あと、年増、長身女だなんて……」
「追加するな!!」
列も消費されていき、占い師らしき影も近付いてきた。恐らく細い輪郭からして彼女は、中東の女性用の服にベールという、使いふるされ過ぎて今時誰もしない格好をしていた。
明らかに持てなさそうな男子中学生が終わり、次の客は腰の曲がったお婆さん。
一体どんな話をしているんだろうと、耳をすませてみる。
「わしの運命の相手を知らんけも?」
ばあちゃん。あなたは老い先短い身の上で一体何を望んでいるんだ。
「白馬の王子はその辺から沸き出るでしょう」
出てどうする。
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