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「じゃ、運命の相手を見つけるという依頼でいいかしら?」
占い師は探偵の秘書みたく格好つけて言った。
「ええ、是非お願いします」
姉ちゃんは内心のほくそ笑みを顔面にまで出して肯定した。
俺をいかにいたぶるか想像して笑っているのだろう。
「もう何でもいいです」
一刻も早く終わらせてくれ。この殺伐とした世の中で俺の癒しは猫さん、君しかいない。
「アレブーカレブーユアケーノレッシー」
占い師は最早どこ出典だかわからない珍妙な呪文を唱え、水晶に掌を翳した。
暫くして「見えます、見えますぞ!」とか騒ぎ始めた。
「その人は顔を覆い隠すベールを被っているでしょう。それから年下が好きで面食いでしょう」
「それ、違うから。正面のあんたの姿が映ってるだけだから」
「ほら、これも運命だと思ってさ」
「理科用語を知らないなら教えてあげよう。これは反射というんだ。角度によってわりと普通に起こるんだ」
「つれなーい。つまんなーい」
「帰る」
「待って待って、今から真面目にやるから」
占い師はベール越しの濁った目で俺をじっと見据え、宣告した。
「あなたは小動物に恋をします」
そして、冒頭に行き着く。
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