扉を開けると、そこはパラレルワールドでした

2/5

229人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
うん、引き返していいかな。 眼前に広がるは、「なんじゃこのパラレルワールドは!?」と十六年間生きてきた現実世界と別の異様な光景。 はげかけたクリーム色のコンクリートの壁には『ミッキーの中身の中身は内臓だよ』という謎の格言が刻まれ、鉄の天井に垂れさがるのは魔除けらしきけったいな装飾品の数々。 棚の季節外れのミニ門松には球体の発泡スチロールが設置され、人面が描いてある。 帰りてぇー。「あはっ、部屋を間違えました」とかいうベタ且つ古典的な手法を用いてリニアの速度で戸を閉めてぇー。 しかしここは校舎とグランドの間、部室棟という名の貧相なプレハブ小屋。まごうことなき文芸部のテリトリー。 「およ? もしかして新入部員という夢のシュチュエーション?!」 部屋の大部分を占める机の真正面に陣取るは、激しく卵を彷彿させる体系の女子高生。 その他にも「これが噂のオタクという人種だ!!」と断定できる風貌の男女が机を前に掛けている。 「ようこそ文芸部へ! さあさあ遠慮はいらない、ずいずいっと入りたまえ!!」 もうやだ、帰る! ムーンウォークで帰るぅ!
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

229人が本棚に入れています
本棚に追加