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「部長の香取伊那です。宜しく」
ドアの前で立ち尽くす私を気遣ってか、花の女子高生が笑顔で声をかける。
部長とやら、お前は気遣いの方向性を激しく間違えている!
「良かったら名前教えてくれん?」
くっ、ここで名を名乗ったら勧誘という魔の手から逃げられん。しかし、相手が先に言ったことでこちらも名前を告げなけらばならないような強迫観念が発生している。
「……二年二組、神爾美鳥です」
はうっ!流れで名乗ってしまった!
「美鳥ちゃんね。……てか、あれ?二年?絶対一年だと思った」
何故に?
「それで、なんでうちの部に入ろうと思ったん?」
……!
そうだ、私は目的があってここを訪れた。
ここの部室棟がちょっとくらいカオスだからってそれが何だ。そんなことで挫折するくらいの志なら、はなっから無いのと同じだ。
拳を握る。今までの自分と決別し、一歩を踏み出すために。
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