小動物って、マジ萌える

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「そんなんだから、彼女いない歴=年齢なのよ」 「俺、彼女いたよ」 「……パードゥン?」 「彼女いたよ」 姉は雷に打たれたような顔で崩れかけたが、なんとか踏み留まる。 「はっ、どうせ脳内彼女……」 「二組の岡野優雅。中三の10月に向こうから告白してきた。半年付き合って卒業を期に別れた」 長い足がふらつき、膝が床についた。 「変態の弟にできてあたしにできないなんて……この世はなんて不条理なの!?」 「人生そういうもんだよ。ほら俺、顔だけはいいから」 「自分で言うな」 床につき、憤怒に震えていた姉の腕ががばりと上がった。 「もういい!あんたこれに行きなさい!」 そこには一枚のチラシが掲げられていた。 『岐阜の伯母 あなたの運命の人を予見するカモ!?』 というなんかのパクリとしか思えない小見出しに、広告文が続いている。 『岐阜の街頭で占いを初めて五十日。客からは、遺産相続の際に自分の取り分を強硬に主張する伯母のようだと言われ、親しまれています。 そんな彼女が、なんと!今週の土日に羽鍋商店街にやって来ます!! 皆様お誘い合わせの上、この機会に運命の相手、今月の運勢、家出した娘の居所、無くした財布の位置、競馬の当たり券を尋ねてみましょう。まぐれで当たるかも!?』 うん。インパクトを狙うため多少イメージを下げるCMはあるが、ここまで徹底している正直な宣伝は珍しい。 てか行くやついるのかよ。 「こうなったら占い師さんにあんたの運命の人を予知してもらうんだから」 いた。ここにいた。 「そしてお告げを微妙に信じ、胡散臭い占い師の予言に振り回されるさまをこのあたしに笑われろ!!」 なんつー陰険な嫌がらせ。 「姉ちゃんこそ占ってもらえよ。俺はこの猫さんを運命の相手に決めたんだ」 「税込三千円の運命なんて安っぽすぎるわ!」
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