第1章:『戸締まりはしっかり確認した方がええで?』

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確かにあの人はほとんど冗談しか言わないけど・・・・・・。 「よく知ってるな。会ったことあるのか?」 「会ったことも何も去年から一緒に住んどったんやから分かって当然やろ」 ・・・・・・・・・。 「一緒に住んでた?」 「せや。椿さんにはお世話になったで」 話が全く見えないぞ? 一緒に住んでたって事は母さんと知り合いってことだろ? 「だったらそのままあの家にいればよかっただろ。何でここにきたんだ?」 少なくともあの家はここよりは大きくて住みやすいはずだが・・・・・・。 「ウチにも色々あんねん」 そう言った彼女の顔はとても暗く悲しみに満ちていたような気がした。 そして彼女は言葉を続ける。 「今は何も聞かんでここに置いてくれへんやろか。頼む」 空獅子は立ち上がり頭を下げた。
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