#05~絆を紡ぐ三神刀

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 #05~絆を紡ぐ三神刀

  ―  一人の欲望が生み出した波乱の争いが、神をも失墜させる大きな波動を巻き起こした。  美しい純白の大地を形成していた雪原も、その輝きを失ったように荒れ果て、人々が己の愚行を省みる。  その中で、彼らはきっと思ったはずだ。  神は私達を見捨てた……。  だが、それは当然の報いであったのだ……と。  そんな思いを際立たせるかのように、荒れ果てたブリザローグの大地から、神として崇められていた雪鯨龍デルピュネスの姿は消えた。  信仰していく神の存在を無くし、途方に暮れる人々が歩み進めるのは、神ではない自分達が生きるための活路として切り開いていく道……。  決断を迫られるブリザローグの人々が進む未来に、新たなる過ちが起きぬよう祈りながら、神と崇められた存在は光の中へと再び立ち去っていった。  そして、デルピュネスの消失と入れ違いに再び力を取り戻した純白の白き獣が、その妖艶なる九つに分かれた尻尾を振ってブリザローグの雪原に降り立つ。  自身の代行たる神が消失した後に、人々がどのように歩み続けていくのかを見守っていきたい。  そんな願いを胸に秘め、彼女の意思が雪原に波紋を広げていく中、その意思は一人のコレクターの手によって静かに汲み取られたのであった。 ……。  神という存在によって、人々の心が軽々と四散してしまっていたブリザローグに、今新たなる風が吹く。  決して強くはなく、安易ではない過酷な生き方を前に、人々の表情にも苦悩が見られた。  だが、その意思に賛同する者達が集いつつある今のブリザローグが、後に更なる未来を切り開く鍵を掴み取れることを、人々は気づいていたのだ。  そして、極北で生き続ける人々の思いが疑念を募らせつつある雪原に、閉ざされていた過去を凍てつかせる氷が解き放たれる。  神の訴えを聞き入れた一人のコレクターの手によって……。 …―
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