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――元宮 水城(モトミヤ ミズキ)
彼を見つけてから数日が過ぎた。
だからといって、その間何か進展があったわけでもなく……………
私は今日も生物室の一番後ろで、微かに見える彼の横顔を見つめていた。
授業中、彼はいたって真面目である。
ひたすら黒板と教科書を見詰めながら、細く長い指でノートにペンを走らせる。
しかしその作業さえ、彼がするのを見ていると、まるで何か神聖な儀式でもしているように感じる………
私はもう病気かもしれない。
それくらい、彼から目が放せなくなっていた。
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