レッスン

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「こっち! こっち! 君が皐月君だね?」  笑顔で私を、呼ぶその男の人に、私は、戸惑いながら、返事をする。 「は…はい!」 「事情は社長から聞いてるよ。マネージャーの安部政人! よろしく!」  短髪で、背がスラッと伸びた、元気なその人は、私にそう自己紹介した。  なんだか、ものすごく、ハイテンションな人だなあ…めっちゃスタイルもいいし、この人が、アイドルした方が… 「私は小林皐月です。マネージャーさん宜しくお願いします」  私は、ペコリと頭を下げる。 「僕は安部ちゃんでいいよ。皐月君そして、私じゃないでしょ?」 「あっそっか! えっと俺?」 「皐月君の場合キャラ的に僕って感じじゃない?」  と、安部ちゃんは、私に顔を近づけて聞く。 「僕…?」 「ね? ね? ぴったりだよ! 可愛い!! ね? ね? ね?」  テンション高いなぁ…この人… 「は…はい…」  私この人と仕事うまくやっていけるのだろうか…てかだいたい… 「わた…じゃなくて、僕につくマネージャーは、何で、男の人なんですか? せっかく、事情を、分かってくれてる人なのに、女の人の方が、やりやすいんじゃないかなっ…?」  と言う私に、少し真剣な顔で、安倍ちゃんは答えた。 「本当は、そうなんだけどね。仮にも、男性アイドルとして、デビューする訳だから、マネージャーとか、近くに女の人が、いるとファンになってくれる子的に、NGなんだ」 「う~、なるほど…」 「頼りないかもしれないけど、僕が、そのことは、全面的にバックアップするから! もう、大船に乗った気持ちで!」  と自信満々に言う彼。  なんだか悪い人じゃないけど…なんだか少し不安だな。 「はい。宜しくお願いします」
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