レッスン

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「♪~」 「♪~」  先生に続いて声を出す。 「綺麗な声だな…流石、期待の新人…」  先生は、小声で漏らす。だけど、私は、聞き取れずにいた。 「?」  先生は、そんな私を見て、ふっと笑顔になると、またトレーニングを続けた。 ― ―― ――― 「よし、声も温まってきたし! デビュー曲、歌ってみようか」 「えっ」 「デモテープ、聴いたよね? そこに、譜面と歌詞もあるから、一回歌ってみようか」  デモテープ…  その言葉を、聞いた瞬間、あの爽やかな声が、よみがえる。 「あの…あのデモテープ歌ってるの誰なんですか?」  気付いたら、私は、その声の持ち主の事を、先生に、聞いていた。 「ああ、一馬君だよ。君とユニットを組む」  私は、予想外の答えに声を上げる。 「えっ!」  そんな私を先生は、不思議そうに見る。 「どうして?」
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