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それ故にシンプル
そう、シンプルとしか言いようのない服装なのだ
「…はぁ、頑張れよ今日の俺」
自分の部屋を出てリビングに着くまでに暗示のごとく呟く
そう、俺は毎朝必ずこの暗示を呟くのだ。
今日は大丈夫、今日は昨日より良い1日になる
そう願いながら…
リビングに近付くと中から笑い声が聞こえてくる
両親と御堂マコの微笑ましいであろう朝の会話
俺からすればそれすら苦痛でしかない
『なぁ、劾はまだ起きて来ないのかい?そろそろ来る頃なんだが…』
ふんわりと優しい声の父親が心配そうに言葉を発した
『マコちゃん、ちょっと見てきてくれるかしら?』
母親の緩急ある声を聞き、俺はドアを開ける
「大丈夫だよ…"マコ"にそんな面倒な事させたくないからね」
『おはよう劾、まだうなされているね…父さんは心配だよ』
父親のわたわたと忙しない態度にここ数年内容しか変わらない挨拶を交わす
「ゴメンね父さん、今日は巨大ウサギに踏みつぶされそうになる夢をみたんだ」
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