37人が本棚に入れています
本棚に追加
峠
(やれやれ・・昼過ぎには村に入る予定だったのになぁ・・)
(愛君を置いてきてよかったぁ・・・本当にやれやれだなぁ(汗))
最寄りの駅からバスに乗ること1時間30分、しかも村の峠の手前でバスは帰ってしまった
「やっと峠を登りきったかぁ?」
峠は車1台がやっと通れる広さ、すれ違うための路肩はもちろんあるが
「なるほどね?これではバスは無理か?」
「愛君にはタクシーで来るように、後で伝えておくかぁ」
独り言を呟きながら前方に目を向ける
「お~!これが鬼切村かぁ!」
山々に囲まれた30戸ほどの村が見える
中央には川が村を二つに割るように流れている
「愛君が話してくれた伝説の川かな?」
家々は山に沿うように、間隔もまばらに点在していた
「あれ?あの山の中腹にあるのは?鳥居かな?」
川の上の方角、家が途切れ少し離れた場所に神社が見えた
「あの神社に・・娘を助けた虫が祭ってあるのかぁ?」
「なんだか・・感動しちゃうなぁ~」
田舎の家は、都会のそれと違い造りが大きい、そのなかでも、ひときわ大きな屋敷が村の中央付近に存在していた
「でけ!!」
「なんちゅ~嫌味だ!?」
村は自然に囲まれ、静かに川が流れ、とても美しかった
村の東側には青い森が広く深く広がっている
「あっ!いかんいかん!」
「のんびりしてると暗くなってしまう」
「とにかく、村に行くかぁ」
(愛君、今ごろどうしているかな?)
再び村に向かい歩きだすのだった
「20年・・・まえ・・と」
「えっ?私?誰か呼んだ?」
最初のコメントを投稿しよう!