大胆計画、前途多難?

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「にしても…意外。  静川もバレンタインとか  作るのな?」 そう言って、まっすぐな笑顔を向けられるとなんだか恥ずかしくて、真っ赤になってしまった。 「…つ、作る、よ?」 思わず、俯きながら答える。 「俺にも作ってくんない?」 耳元で囁かれた低くて太い声。 ―――どくんッ。 「へっ!?」 状況がわからず、反射的に後ろに後ずさる。 そんな私の目に入るのは、 腰を屈めたまま、静川おもしろ、と笑う嬉しそうな顔の優木くん。 「や、止めて…ください」 そっぽを向きながら、 怒り口調で答える。 対して、すぐさま、優木くんは手を合わせて一言。 「悪リィ…」 「あははっ…  いいよ、別に…」 苦笑いしながら、 私もすぐに許したけれど… さっきの感覚は…何だったんだろう? まだ胸が…ドキドキしてる。 「あんがとっ!  んじゃ、俺、帰るわ?  バレンタイン、  期待してるからな、静川?」 ぼーっとしていれば、その一言を残して優木くんは振り返ることなく、さっさと去って行った。 その出来事があまりに恥ずかしくて、その日は何も手につかなかった。
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