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「生活安全課の泰久君だね」
「はい、署長。何かご用が」
「あるから呼んだんだ。こいつを読んでくれ。だが、他の奴らに内緒だ。いいな」
署長室から生活安全課に勤めている武藤泰久が出てきた。彼は直ぐさまトイレに向かう。そこでファイルを読みはじめた。
一ヶ月前。女子高生が歩いていた。顔には雀斑があり、内気なショートヘアである。友達も少なく、いつも一人で下校している。名は武藤裕子。
「裕子。いつもつまらなそうな顔をしてるけど、どうして」
友達の言葉が頭に過ぎっていた。友達の言う通りだ。鏡を見る自分の顔はつまらなそうな顔だ。そんな自分が嫌いだ。家に帰れば、親は水商売で忙しい。離婚した父の借金帰すために。たまに、男を家に連れ込む。明らかに母と寝る目的の男性を。
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