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裕子は戻してと叫び、ガラスを叩くが次第にその声が熊の鳴き声になる。
「グォウ[いや]」
彼女は熊の顔になり始めている。鼻は黒く湿ってきた。歯は熊の物に。舌も長くなる。顎は前に突き出し、茶色の毛が覆う。そして、物の見事に、裕子は熊になってしまった。
後藤はその様子をモニター室でニヤニヤ笑みを浮かべてみていた。
「獣化薬。成功か」
彼は立ち上がり、モニター室を出ていく。
熊となった裕子は麻酔で眠らせ、研究所の飼育所に連れていかれた。
後藤は裕子が熊となった理由を知っていた。獣化薬はどの動物になるか解らない。裕子は熊の様に強くなりたいと心にあったから。そう彼はレポートにまとめた。
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