208人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
あれから数日…。
ぼくはいつもの毎日を送っていた。
もう王子様に会うことはない…。
そう思ってた…。
なのに…───。
「ルナ!見つけたぞ!」
街での買い物中に見つかってしまった。
「王子様…」
「今日こそ僕と来てもらうぞ!」
「…行かないよ」
「だめだ!」
「王子様…」
「さ、行こう?」
差し伸べられた手につかまることを僕は躊躇った。
どうしてこんなにもぼくなんかに執着するのかわからなかった…。
「ルナ」
ぼくの名前を呼ぶ王子様の声は優しくて…。
ぼくはその声につられるように王子様の手をとってしまった。
「さ、僕の城へ行こう。ルナ」
「…うん」
馬車に乗り込み、ぼくは王子様と一緒に城に向かった。
「汝、愛して欲しいと言っていたな?」
「うん…」
「愛してやるぞ。僕が」
「ほんとに?」
「ああ。だから僕と共に城に住むのだ!」
「それは…」
「出来ぬとは言わせぬ。汝は僕の友だ」
きっぱりと言われ、ぼくは口をつぐんでしまう。
城に住むなんて…出来ない。
ぼくには…古城がある…。
あそこだけで十分だ…。
「あの…王子様…」
「サーベルトと呼べ」
「サーベルト様…」
最初のコメントを投稿しよう!