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「様付けしなくてもよいぞ?」
「あなたは王子様だから…」
そうか…とサーベルト様はぼくを抱き寄せた。
あったかい…。
凄くあったかいな…。
ずっとこうやっていたいけど…だめだってこと…わかってるから…。
「ほら、着いたぞ。ここが僕の城だ!」
「ぼくの古城とは大違い…」
「沢山の召使たちがいるぞ。みな、いい奴らばかりだ」
「そっか…」
いい奴ら…。
それは王子様に対してだけだと思う。
ぼくはずっと恐れられているから…。
「お帰りなさいませ。サーベルト様」
「うむ!さ、ルナ、降りるのだ」
「うん…」
恐る恐るぼくは馬車から降りる。
するとすぐにぼくは王子様と引き離された。
「そやつは客人だ。通せ」
「この化け物は古城の住人でしょう?サーベルト様を危険な目に合わせるやもしれません。すぐに引き取ってもらいます」
「ば、化け物とな?!そやつは僕を助けてくれた奴だ!」
「このオッドアイが証拠です。気味が悪い…。さっさと、帰りなさい。馬車で送ってあげますから」
「…はい」
「ルナ!行くな!」
「…ばいばい…サーベルト様」
隔離されるようにぼくは沢山の召使に囲まれて馬車へ押し込まれる。
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