第四章

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あれからサーベルト様はどうにかしてぼくを城へつれていこうとしてきた。 でもぼくは決して首を縦に振らなかった。 「ルナ!一度だけでいい!僕と来てくれ!」 「それは出来ないよ…。ぼくはサーベルト様と一緒にはいけない…」 「ルナ…」 「サーベルト様は王子様だから…」 「ルナは僕を王子として見てくれてるのか…。嬉しいな」 「当たり前だよ」 「僕は汝を愛しているのにな」 「え?」 サーベルト様を見上げようとしたとき、不意に抱き締められた…。 びっくりしてぼくは体を硬直させる。 サーベルト様は気にすることなく、ぼくの頭を優しく優しく撫でてくれた。 「サーベルト様…?」 「愛して欲しいと言ったのは汝だ。僕はそれに応えたいのだ」 「サーベルト様…。…ありがとう」 「礼には及ばん。汝は僕の恩人だからな!」 「そんな大それたことしてないよ…?」 そんなことはない、とサーベルト様はぼくを抱き上げた。 いきなり抱き上げられて、ぼくはサーベルト様に抱きついてしまった。 「ルナ、行こう?」 「…一回だけだよ…」 「ああ!それでも構わない!」 「じゃあ待ってて…」 サーベルト様から離れ、いつものローブを羽織った。
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