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タカシは教室にいた…。
今は授業中。
夏に近付くこの季節。制服もまだ衣替えしない時期だが暑さはワイシャツを湿らせる。そんな穏やかな一日…。
《そういやあそこの席のやつのぶお君だっけ?学校に来なくなってからもう半年だな…》
窓際の前から3番目。高校生にとったら一番取りたい席だ。しかしそこの席には誰も座っていない。
《まあ…あんまり話したことないし、目立つタイプでもなかったからなぁ…》
そんなことをボ~っと考えながらタカシは先生が書いた黒板をノートに写す。
《どうせ誰も聞いてないよ。現にクラスの半分は寝てるし、カラペッソ君なんてナン食べてるし…》
『はい、ではカラペッソ君。1192年に起ったものはなんでしょう?』
《おっ!!突然の質問だ。大黒先生、カラペッソ君がナンを食べてることに気付いてたんだな…。さあ、どうするカラペッソ君?!》
「モフッ…ホガガガガ…ッフへフッ!」
《普通に喋ろうとしたよ…。無理があるだろ…頬張って…。ほら、大黒先生怒るぞ~》
『カラペッソ!!お前…』
『まだ日本語を理解してないのか…』
《カラペッソ君は出身浅草だよ…》
そんないつもと変らない授業のハズだった。
つづく..
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