小さい頃の記憶って不意に思い出しても直ぐに忘れる件について

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スッゲー!!何だよこれ!?クルーザーだよな?これ。 「なぁ、カンナ…俺達、今日これで行くのか?」 「はい。五人では少し狭いかもしれませんが、ちょうど今日はコレしか空いてなかったので」 いやいや、コレ、10人でもいけるぞ。 「大地くん。早く来なよ」 空が呼んでる。何でアイツは当たり前の様に乗り込んでるんだ? 「島に着くまで20分位ですが、ゆっくり行きますので、どうぞ、くつろいで下さいね」 「あぁ…ありがとう」 「大地、そんな所でつっ立ってないで早く進みなさいよ」 「ごめん、ごめん」 船が出航した。20分位で着くみたいだし、ゆっくりするか。 「なぁ、何でこんな船で行くんだ?渡船とかあるだろ?」 「無いよ~。カンナちゃんの所の島だから、誰もあそこに渡る人なんて居ないよ~」 マジで!?プライベートアイランドってやつか!?カンナって金持ちなのか?でも駄菓子屋で店番してたぞ? 「なぁ、カンナって金持ちなのか?」 「そうだよ~。大企業の社長の娘だよ。泉ヶ崎グループって所の」 「はっ!?あの一代で日本トップクラスの企業になったって言う泉ヶ崎グループか?」 「あ~何かそんな事言ってたね」 マジかよ!超金持ちじゃないか。 「なぁカンナ…そんな社長の娘が何で駄菓子屋の店番をやってたんだ?」 「えっと…まぁ色々とありまして…」 カンナの表情が沈んだ。まぁ誰にでも話せ無い事はあるからな。俺はあんまり人に、ずかずか突っ込んで行く事はしない。 「そっか、今日はありがとう。こんなに凄い船に乗れてラッキーだよ」 しばらく無言になって居ると島が見えて来た。 「着いた~。さぁ、行くよ~」 元気いっぱい、駆け抜けて、そのまま海に飛び込んだ。いつの間に水着になったんだ? 「相変わらずですね、空は。」 船から降りて、一つだけある家に向かう。ここはカンナの別荘らしい。確かに豪華な家だが、どこか暖かな感じがする。 「私達は着替えて来ますから、先に行って下さい」 「あんた、覗いたら死なすわよ!」 「見ちゃ…駄目だよ」 「覗かね~よ。先に行ってるぞ」 俺は最初から海パンを履いているのでTシャツを脱ぐだけでいい。 「大地くん~。早く早く!」 あんなに遠い所から飛び込んだのに、もうここまできてやがる。 「おい!何の真似だ?」 水鉄砲で顔面を狙い射ちされた。 「よそ見してる方が悪いよ」 コイツは、もう何されても文句は言えないぞ。
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