桜の章

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凍てついた私を溶かすかの様な、優しく暖かい眼差しで彼女は振り返った。 『……あ……』 どちらともなく漏れた声だったよ…。 「美しい絵ですね。」 「ありがとうございます。…私…絵を描くのが好きなんです。でも誉められる程、上手い絵とは思えないんですけど……」 そんな他愛のない話から親しくなり、彼女とは毎日公園で会う様になった…。 彼女は【各務 都】と言う名で、絵を描く事が趣味だと言う事や、持病で心臓が弱いと言う事も教えて貰ったんだよ…。 そんなある日、彼女が一言こう呟いたんだよ…。 「桜は何分咲きが1番美しいと思いますか?」とね……。 私は意味が解らずに茫然とした……。 君ならどう答えるだろうか?…桜の花の何分咲きが1番美しいと答えるかね?………そうか…君ならそう答えるか…なるほどね…。…え?…私はどう答えたかって?……
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