261人が本棚に入れています
本棚に追加
とくいよしむら
「すきとかあいしてるだとか、俺にはよく分かんねえよ」
いつも突然。カップラーメンを食おうとしていた瞬間だった。
「お前には分かんの?だったら教えてくれよ」
「だからだなぁ、その、自然にそいつのこと思ってたりだとか、そいつのこと思ってたら胸が苦しくなったりとか、なんかムズムズすんだよ」
俺も俺で説明が上手くできない。そういえば、愛ってなんだ?
「あーわけわかんねぇ。ま、俺はお前が隣にいれば充分だ」
不意打ち。みるみる真っ赤に染まっていく頬を徳井の指が触れて、撫でる。
コノヤロウ、たまに優しいことすんだから平常じゃあいられねぇよ。
「まあいいや。食べようぜ、伸びちまう」
「お、おう…」
ズルズルとラーメンを啜りながら、愛とは何かを考えた、そんな昼下がり。
(まあ、それらしい答えは出てきやしねぇけど)
END
最初のコメントを投稿しよう!