最強のバカ

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とくいよしむら 「すきとかあいしてるだとか、俺にはよく分かんねえよ」 いつも突然。カップラーメンを食おうとしていた瞬間だった。 「お前には分かんの?だったら教えてくれよ」 「だからだなぁ、その、自然にそいつのこと思ってたりだとか、そいつのこと思ってたら胸が苦しくなったりとか、なんかムズムズすんだよ」 俺も俺で説明が上手くできない。そういえば、愛ってなんだ? 「あーわけわかんねぇ。ま、俺はお前が隣にいれば充分だ」 不意打ち。みるみる真っ赤に染まっていく頬を徳井の指が触れて、撫でる。 コノヤロウ、たまに優しいことすんだから平常じゃあいられねぇよ。 「まあいいや。食べようぜ、伸びちまう」 「お、おう…」 ズルズルとラーメンを啜りながら、愛とは何かを考えた、そんな昼下がり。 (まあ、それらしい答えは出てきやしねぇけど) END
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