プロローグ

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──2033年2月7日、国立極地研究所 主任研究員の白川昌彦は、眼下で起こっている出来事を半ば信じることができずにいた。 「まさか……、ありえない……」 同年の1月に採取された南極氷床の岩盤── 放射年代測定法により、約38億年前の化石が発見された訳だが、 「これをどうしろってんだ……」 約38億年前の化石から、小さな粒を発見した。取り出して見ると、それは──約38億年前の海水。 外からの栄養供給や光、酸素がないという過酷な南極の氷床下で、微生物が岩盤中の鉄や水中の硫黄分を使う独自の代謝法で、生命活動に必要なエネルギーを得て150万年以上の生存を支えた、という仕組みはハーバード大学が報告している。
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