非日常への始まり

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キリスト! 片方の生徒が振り絞るように出した言葉にならない声を男は聞き逃さなかった (嘘だろ!? 聖人もいいとこ、宗教の祖クラスじゃないか!! 何であんなもんがこんな所に…) 男は思い出した 夢の島設立時、海洋の環境や領海問題から国内外こぞって様々な機関が批判してきたはずがある時期を境にパッタリ何も言われなくなった事を。 当時は子供ながら米が動いたとか金で済ましたとか邪推したものの結局真相は誰も掴めずうやむやに24区に制定されたまま現在に至る事を。 (夢の島?吐き溜めかと思いきや、まさか名前の通り日本を含めてどこかがゴミだけじゃなくてタイムカプセルのノリで何か<夢に相当するもの>を埋めたのか? 聖腐…政府じゃなくて聖腐と呼ばれる意味…ただのスラングじゃないのか) 現状を考察しながら目は放さない ふと異様さの元、洋一だったものが少年に向いて動いた 「あなたは私を感知できるのですか」 「おばえば、ぃよぅいぢ、に…なにをぢだ?」 「おやめなさい 無理に話さずとも伝わります この者が私に通ずる物に触れた為に再び私は地に降りる事になったのです それ故この者の魂は召されてしまいましたが幸福そうでしたよ」 何故か理不尽に怒りが体を巡った 血を介し肉に流れ全身を脈打ち、膨れ上がったそれは 爆ぜた 「っざけるなぁ!! 勝手に殺しておいて幸福だっただと? 思い上がるな! 別に洋一が好きとか親友とかそんなんじゃないが お前は…お前はいけすかねぇ!許せねぇ!!」 それが思いだったか言葉にできたかはわからない たださっきまでこれにはかないはしない 逆らえない なにもできない 倒れたくてもそれすらできない 圧倒的 そうとしか表現できない状況なのに 急に体が楽になり テレビを消したようにプツンと音がした なにもかもが暗闇で 意識が 途切れた
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