始まりの鐘

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 3時間ほど前に告げられた組織からの宣戦布告。 『── 諸君らの戦意を見せてもらう──』  その言葉の意味を、今の説明で理解した悠輝。 「いよいよ、ですね……」 「あぁ……」  博之と龍治が呟いた。  いよいよ、本格的な殺戮が始まる。  しかも、逃亡者自身に委ねられた他人の命。  見知らぬ人間とは言え、同じ檻の中の人間だ。 「よっしゃあ!! 奴等に吠え面かかせてやるぜ!!」  神妙な面持ちの悠輝達を他所に、秋人は1人燃えていた。  まどろっこしいやり方にウンザリし、全てに反発していた数時間前までとはうってかわっていきいきしていた。 「もう1度だけ確認するぞ?」  龍治が小さな声で言った。  その声に悠輝達は一斉に顔を向けた。  3人の表情を確認しながら龍治は言う。 「戦う覚悟はあるんだな?」  その問いに、悠輝達は力強く頷いて見せた。  各々に想いは違えど、生き抜く為に戦う。  3人の真剣な表情を見て、龍治はそう感じ取っていた。
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