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「どうすんだ、これ?」
回り道をしようにも、建物が崩れ落ち、道は塞がれている。
武装した追跡者達を突破するか、戻って道を探すか。
戻ったところで、安全なわけでもなく、追っ手は確実に迫ってきている筈。
龍治は必死に考えを巡らせた。
トミーや博之も同じく、瓦礫で封鎖された周囲を何度も見渡しながら考える。
「あの……」
その時、中山が不意に口を開いた。
全員が即座に視線を集中させる。
「戻っても道があるとも思えないし…… 瓦礫使って戦うってのはどうすか? 映画みたいに……」
おどおどした様子で話す中山、その話に龍治とトミーは唖然とした。
作り物の中なら、上手く抜けるんだろう。
だが、現実として明らかに重武装の連中相手に、自動小銃と拳銃。
非を見るより明らかな敗北。
「無理だから悩んでるんですよ……」
暫しの沈黙の後、呆れたように博之が言った。
その皮肉混じりの言い方が気に入らなかったのか、中山はムッとした表情で博之を睨んだ。
だが、龍治やトミーの呆れ顔を見て反論するのを止めた。
無謀な意見、だが、それがトミーの脳を揺らすきっかけとなる。
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