対立のユダ

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 トミーは無線を取り出し、通信を始めた。 「私だ…… ああ…… 全員は無理か? …… 分かった、頼む」  3分ほど話をし、終わると同時に無線を胸ポケットにしまった。  すると、集まっていた追跡者達が2人を残して、一斉に走り去っていった。  重たい武装を鳴らしながら、荒廃した町を走る追跡者。  それを眺めながら、もはや侵略者にしか見えないと博之は感じていた。 「2人か…… グレネードくらいならこの瓦礫でもなんとか凌げるな……」  目の前の瓦礫を軽く叩きながら龍治が言うと、トミーは銃を構え始めた。 「も少し待てよ…… 今はまだ早い……」  焦ったように動いたトミーに冷静に龍治が言う。  たった今追跡者が離れていったばかり。  今、銃撃を行えば、せっかく離れていった連中が慌てて戻ってくる。 「後ろからも…… 来ているそうだ……」  止める龍治と視線を会わせず、トミーが呟いた。  それを聞いて、博之や中山が即座に来た道へ視線を向ける。  相変わらずの瓦礫の道。  だが、遠くで響いていた筈の銃声が近付いてきている。 「早く逃げましょうよ!!」  我慢しきれなくなったか、雨海が泣きながら龍治に言う。
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