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避けた爆炎は地面にそのまま衝突し、小さな爆発を巻き起こした。
「あっちいんだよっ!!」
左手に炎の熱を浴びながら、龍治は追跡者に向け乱射する。
追跡者は油断していた。
普通の銃弾よりは確かに速度は違えど、簡単に避けられるものでもない。
確実に殺した、そう思っていた矢先。
炎の横から飛び出した龍治が銃弾を放っている。
一瞬の油断は体を硬直させ、反射的に動くことすら忘れ。
銃弾は容赦なく追跡者を貫いていく。
鮮血を巻き上げ、背中から倒れ、追跡者は白目を向く。
「ふぅ……」
「さすがだな……」
倒れた追跡者を確認すると、龍治は立ち上がり、トミーに手を差し伸べた。
その手を掴み、トミーが立ち上がった時。
瓦礫の向こうから銃声が2人の耳に届く。
2人は一瞬顔を見合わせると、即座に博之達がいる方へ走り出した。
「うわぁっ!!」
情けない声を上げながら、中山が銃を乱射している。
その背後で蹲る雨海の姿。
銃声に怯え、顔を膝に埋め、耳を塞ぎ、動こうとしない。
中山が放った弾が向かった先には、市役所から追い掛けてきた追跡者達数名が、瓦礫を盾に2人に銃を向けていた。
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