3661人が本棚に入れています
本棚に追加
機内、シンは遠くなっていく陸地をながめていた。アナウンスでは沖縄の天候など流されている。
これから1年間、自分が決めた事に耐えられるのか、シンは正直わからなかった。
「お兄ちゃん飴あげる」
いきなり前の席に座っていた男の子が、こっちを覗いてきて飴を渡してきた。
「ありがとう」
「元気だしてね。これ元気になる飴だから」
その言葉に、自分が元気がないように見えていたんだと、少し恥ずかしくなった。見ず知らずの子に心配される程に、暗かったんだろうか、袋をあけ黄色い飴を口へほうり込む。
「おっ元気になった」
なんて笑って見せると「でしょ」と男の子は得意気に笑い前を向いた。
その隣りでは母親が、申し訳なさそうに、シンに頭を下げている。
それから、時間は経ち。
飛行機は沖縄に着陸した。空港からでると、眩しい光りが照り付ける。
シンはタクシーに乗り、前日に着くようにと送っておいた、車を取りに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!