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「浴室から物音が……!? 侵入者か!」
俺は銃を構え、慎重に扉に近づく。
そして一気に扉を開き、叫んだ。
「何者だ……うわあ!」
しかし、俺は目の前に広がる光景に驚愕の声をあげることになった。
浴槽から突き出た二本の太く毛深い足。
まるで古典ミステリーの犬神家の一族を思わせる光景だが、筋骨隆々の肉体に似合わず、青いシマパンをもっこりと履いているその男は、存在自体が完全に俺の理解の外だった
「な、なんだよこいつ……と、とりあえず警察に……」
「ぬおおお! 貴様ぁ! わしの恥態を見おったなあああ!」
「うわあ!」
突如、男が逆さのまま飛び上がり、風呂桶の中に着地する。
その衝撃は物凄く、風呂の水は噴水のように噴き上がり、風呂桶は激しい轟音と共に爆発した。
「うわ、来るな!」
俺は慌てて銃を発砲するも、その鍛え上げられた肉体に弾き返される。
「笑止! 我に銃弾などが通じると思うてか! 我は曽根川ひかる! 布一枚でフォッカーを倒した男であるぞ!」
え、曽根川ひかるってあの訓練生の!?
ちょ……だって女の子って……久川、謀ったな久川ああああ!
「まあよい。狩ったばかりの虎の丸焼きを作っておる。さあ、共に食そうではないか! ガハハハハ!」
「うわ、ちょ……痛い痛い! てか、服を着ろおおお!」
久川……末代まで呪ってやるからな……!
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