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「また その話か」
何度言っただろう。
「女のコと2人で、ゴハン行くとか遊ぶとか… イヤだし」
「何もしてねぇって。友達と遊んだら、ダメなんか」
「オレに休みの日は、家でいろってか」
「そんなこと言ってない」
「聞こえるんだよ。全部あんたのワガママだろ」「子どもほしいって言ったのも」
確かに、そうだ。
「連続休みだし。どっちかでゴハンでも行こうって、言ったよ」
ゲームしている あいつの背中に言い放つ。聞いているのか、いないのか。
涙があふれそうになる。けど、止める。
もう泣かないって決めたし。
「あたしのこと どうでもいいって思ってるんだ」
「だから、覚えてないんでしょ。それが淋しい」「そんで、じゃあ、メシでも食いに行くかって、フォローする気もないんでしょ?」
あいつは、脱ぎ捨てた服と財布 携帯を掴んだ。
「今日は そっちが出て行くんや?」
「ここにおったら、不愉快なねーさん おるしな」
あたしは止めなかった。
明日。いや もう今日は朝から準備だ。明日は年に1回の大イベントが控えている。
もう 1ヶ月以内に生まれるというのに、あたしはまだ仕事をしていた。 養育費も出て来ない。
あたしの おこづかいなんて、くれる訳ない。
でも、あたしは子どもがほしかった。
ぐにゅぐにゅ動く おなかを撫でながら、
「大丈夫大丈夫・・ 」と繰り返す。
あたしが育てる。
あたしの子ども。
「ちゃんと生まれておいで」
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