第7章

5/5
前へ
/14ページ
次へ
「また その話か」 何度言っただろう。 「女のコと2人で、ゴハン行くとか遊ぶとか… イヤだし」 「何もしてねぇって。友達と遊んだら、ダメなんか」 「オレに休みの日は、家でいろってか」 「そんなこと言ってない」 「聞こえるんだよ。全部あんたのワガママだろ」「子どもほしいって言ったのも」 確かに、そうだ。 「連続休みだし。どっちかでゴハンでも行こうって、言ったよ」  ゲームしている あいつの背中に言い放つ。聞いているのか、いないのか。 涙があふれそうになる。けど、止める。 もう泣かないって決めたし。 「あたしのこと どうでもいいって思ってるんだ」 「だから、覚えてないんでしょ。それが淋しい」「そんで、じゃあ、メシでも食いに行くかって、フォローする気もないんでしょ?」 あいつは、脱ぎ捨てた服と財布 携帯を掴んだ。 「今日は そっちが出て行くんや?」 「ここにおったら、不愉快なねーさん おるしな」 あたしは止めなかった。 明日。いや もう今日は朝から準備だ。明日は年に1回の大イベントが控えている。 もう 1ヶ月以内に生まれるというのに、あたしはまだ仕事をしていた。 養育費も出て来ない。 あたしの おこづかいなんて、くれる訳ない。 でも、あたしは子どもがほしかった。 ぐにゅぐにゅ動く おなかを撫でながら、 「大丈夫大丈夫・・ 」と繰り返す。 あたしが育てる。 あたしの子ども。 「ちゃんと生まれておいで」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加