第1章

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11月のある夜。 痛い…かな。 これって、陣痛なのか…な。生理のヒドい時みたいな感じ。 さっきは7時くらい。その前は6時40分。 ユウキは、タクシーを呼んだ。 電話の向こうでは、わかったような返事だった。が、まだ来ない。 吐く息は白い。 ブーツの底から、寒さが這い上がって来る。 腕時計に目をやる。 針の進みがいつもより遅い。 5分が長い。 少し前から、雪が舞い始めていた。 手袋をした手で、そっとお腹を撫でる。 『ベビちゃん』 ヘッドライトが2つ ゆっくり近づいて来ていた。
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